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消防団の勧誘を断るための理由と方法を究極的にまとめてみた

      2021/05/13

初めに断っておきたいことが1つ。

この記事は「消防団に入らない」「消防団の誘いを断る」と決めている人への心構えと方法論の記事である。

以降の内容は完全にその立場、前提に立ってのものであることを念頭においてほしい。

消防団は地域住民の安全を守るための組織で、勧誘する側にも正当な理由がある。断る側にも種々様々正当な理由がある。
各々の状況によって大きく変わってくる非常に個別具体的な問題であり、一概に正しさを決めることができないため、それが良いか悪いかはここでは議論しない。
また個人の経験、周囲からの情報を元に考察しているため万人への適用を保証するものではない。何卒予めご理解ご了承の上、読み進められたし。

 

心構え編

これから話す心構えはとても長くて、読むのが面倒だとは思うが、結果に大きく関わってくる本当に大切な心構えなので、ぜひ聞いてほしい。

 

さて、この記事を読んでいるということは、君はもうすでに消防団側から勧誘を受けている真っ最中か、電話や人づてにそれとなく「消防団の活動を知って欲しいからちょっと話を聞いてみないか」と言われている状態なんだと思う。

詳しくは後述するが、消防団の勧誘に際して、君と現役消防団員の話し合いの場が設けられるだろう。

結論からいうと、(君が準備を怠り反論できなかった場合を除き)この話し合いは必ず平行線になる。

相手には相手の都合や言い分があって、君が消防団に入るべき理由、断れれない理由を話す。
君にも君の都合や言い分があって、自分が断るべき理由、入れない理由を話す。

ほとんどの場合、どちらとも論理的にも倫理的にも論破できる類のものではない。(これも詳細は後述)
だからどちらかがよほどのミスをしない限り、全く反論ができなくなる状態というのは訪れない。お互い、訪れない。
そして(よほど特殊なケースを除き)裁定を下す強制力のある第三者もいない。

つまるところ、この話し合いというのは根比べなのだ。

しかしこの根比べはこちら側が有利だということを知っておいて欲しい。
なぜなら君はまだ入団しておらず、状況を変えたいのはあっちの方だからだ。つまり話し合いが平行線で終わって困るのは勧誘側ということだ。

だから変に悲観することはない。
でも、決して楽観的になってはいけない。相手も分が悪いのは百も承知で、その分必死になってくる。普段の生活ではなかなか味わえないプレッシャーで君の心を折りにくるだろう。

分かっていても実際に人情に訴えかけられたり「自分だけ楽してていいのか、他の人は頑張ってるんだぞ」という同調圧力をかけられるのは多大な精神的ダメージを負うはずだ。

もっと直接的に「おまえは絶対入らないきゃいけないんだ」と言われたり、全然OKしていないのに話の途中で「じゃあ入るってことでいいね?」と話を強引にまとめようとされることもある。

だが、それでも決して折れてはいけない。

予め決めておいた通り、君は「YES」とは言ってはいけない。「分かりました」とは言ってはいけない。「NO」以外の言葉を口にしてはいけない。

これは決定事項である。

なんだか軍隊じみた物言いになってきたなと思うことだろう。しかしあながち的外れではない。

方向性は違えど、相手によっては軍隊のしごきを彷彿とさせるレベルのプレッシャーや言動で迫ってくる人もいる。ようは軍隊のしごきに耐えるものだという意気込みを持って欲しいのだ。

そして警戒すべきなのは、分かりやすい圧力だけではない。この非常に高圧的な説得と交互にやってる優しい高待遇の口約束もひっそりとした猛毒である。

「そうか……大変なんだな。分かった、仕事やプライベートにも配慮する。そっちを遠慮なく優先してくれていい」
「飲み会なんて嫌なら断れる」
「訓練もそんなに厳しくないよ」
「昔はきつかったけど今はもう全然楽になった」
「よし分かった。そっちの都合に全部合わせる。俺が保証する。本当に何もしなくていい。形だけ、名前だけでいい」

と考えうるかぎりの高待遇を並べてくるだろうが、悲しいかな入団後しばらくするとそれが叶わないことを悟るだろう。
この前話していたのは別人だったのかと思うほどに有無を言わさない”連絡”が飛んでくる。新入団員が口を揃えていうことだ。
その地域の消防団の実態というのは、その構成員しか知らない。第三者には分からない。本当の実態を知っているのは現団員の彼らしかいない。
しかし、彼らの話す”実態”は、何としても君を入らせたいという意思を介した情報だということを忘れてはいけない。

一度入ったら抜け出す(退団する)のが非常に難しくなるというのも大きい。

先程は平行線であれば有利なのはこちらだと言ったが、いったん入団すると状況は逆転する。
(重大な病気を患ったり、その地域から物理的に離れる等のケースを除いて)今後は君が相手にお願いをする立場になり、OKをもらえなければ退団させてもらえない。表面上はそこまでの強制力はないことになっているのだが、実情はそれと乖離している。

通常は年配の方から順に辞めていくのでまず受けあってもらえないし、仮にOKが出ても消防団にとって退団と入団はセットになので退団前に”後任”を見つけてくるなどの条件付きになることも多い。
消防団には定員数といってその消防団に配置されてなければいけない人数があって、よほど特殊な地域を除いて、既存の団員が抜けるためには、新しい団員を補充しなければいけない形になっている。
そうだ。勘のいい君はもう察しているかもしれないが、彼らがこんなにも強引に勧誘するのは、自分たちがいつまでたっても抜けられないという状況を回避したいからなのだ。

忘れてはいけない。団員になった後に聞く命令お願いは十数年〜数十年間続くことを。
今この記事を読んでいる君がどれくらい勧誘を受けたかはわからないが、間違いなくその比ではないのはすぐイメージできるだろう。

いったん消防団の一員になるといくら断ろうとしても「でも○○さんは仕事で出れないし、今日うちで出れるのおまえだけだぞ。絶対出ろよ他誰も行けないんだからな、決まりなんだから、じゃあよろしく(ブチッ」という一方的な電話を受ければ取り付く島もないだろう。
組織の一員になった後に断るのはより困難を極めるのだ。

「話が違うじゃないか!そんなんだったら入るって言わなかったよ!」と思っても、もう後の祭りである。

だからこそ、入団を決めていない今ここがまさに正念場なのだ。

 

最後にもう1つ、覚悟して欲しいことがある。

それはこの誘いを断るにあたって生活区域(ご近所)の人と不和になる、ギスギスする、居心地が悪くなる可能性があるということだ。

相手からしてみれば「自分は地域のために頑張っているのに君は頑張ってない奴」という位置づけになる。しかもそういう状況のなかで君は頑なに入団を拒否する。
当然相手と自分の間に不穏な空気が流れるのは避けられない。絶対に避けられない。むしろ直接的に「ここで断ったら地元のみんなから浮いて居心地悪くなるからな」「あとで年くったらいろんな役割押し付けられるからな、おまえ覚悟できてんのか」と言われることが多いだろう。

しかしそれに屈してはいけない。君はもう入らないと決めているのだ。
だから、そのマイナスな面を覚悟して欲しい。そうでなければ、屈してしまう。

そもそも勧誘も受けていないのに消防団に自ら進んで入ろうとする気概のある人は現代社会にはまずいない。
入ってしまう人というのはつまりこの「ご近所さんとギスギスしてしまう」というマイナス面を嫌って入るのだ。それが入る理由で、断れない理由だ。逆を言えばこの理由以外で入る人はいない。そのことをよく考えてみて欲しい。

あちらを立てればこちらが立たず。トレードオフ。作用と反作用。まさに避けられない道なのだ。

 

 

ここまでさんざん煽り立てるようなことを言ってきた。こうまで強く言うのは、それくらいでなければ事にあたる心構えとして不十分なほどの試練になることがあるからだ。

大げさと思ってはいけない。

鋼の意志と不和の覚悟を持って、この戦いに臨んで欲しい。さぁ次は方法論編だ。

 

 

方法論編

前項では心構えを説明したが今回は具体的な方法論である。

もちろん心構えは大事で根幹でもあるが、精神論だけで事を全うできるほど人間が強くできていないのは、勧誘を受けているくらいの年齢であれば知っていることだろう。だから現実的な施策も紹介していこうと思う。

1.話し合いの場を可能な限り設けない

ゼロであることが理想である。しかし職場に団員がいたりして避けられない場合もあるので可能な限り。当然だが、この回数が多ければ多いほど心が折れる可能性は高くなっていく。

飲み会ともなると最悪である。酒の席という口実もあってかさらに強烈なプレッシャーをかけられることが予想される。避けるべし。

2.出来る限り1対多の話し合いを避ける

見落としがちだが、当然ながら説得側(勧誘側)の人数が増えれば増えるほど状況は不利になる。

多人数で徒党を組まれて非難、説得されること自体が心理的に辛いのに加え、相手が様々な主張、様々な立場、様々な物腰で説得してくるため全員に対してうまく切り抜けることが難しい。

どうしても話し合いの場を持たざるを得なくなったらなるべく1対1で話し合うような形をとるようにしよう。

3.前もってシミューレーションしておく(断る理由を整理しておく)

筋の通った断る理由を事前に準備しておく必要がある。

無茶苦茶な論理や焦ってとっさに矛盾を一切気にせず断り続けられればいいが、心理的に普通はそうはいかない。

というかそのレベルの肝の太さがあれば、そもそもこの問題で悩んではいないだろう。この長文をここまで読んで悩ましげな表情をしている君はある程度の準備が必要だと思われる。

話を戻そう。

断る理由の整理である。当然ながらより論理的、倫理的にしっかりしている方が良い。納得できるものであるほど相手が折れてくれやすいし、さっき紹介したマイナス面、デメリットであるご近所さんとの不和も軽減することにもつながる。

 

以下に想定問答を6つほど書いておいた。少なくても全ての質問にきちんと答えられる必要がある。こちらは防御側で、1つでも穴があるとそこから崩されることがあるからだ。

休みの日はいつ?仕事のある日は何時くらいに終わる?そっちの休みと時間帯に合わせられるから大丈夫だよ
勤務時間が○○なら、△△は来れるよね?時間を作れない理由を教えてほしい。みんなプライベートな時間を削って地域のために頑張ってるんだよ
みんなキツいのは一緒だけど頑張ってるんだから。そのなかで自分だけやんないっていうのはどうなの?
どうしたら入団してくれる?(何か条件を言った場合)→じゃあそれができるように上に掛け合ってみる。今はとりあえず入団だけしよう
もう他にあたる人はいないんだ。君が納得するまで我々は何度でも説得にくるつもりだ
そちらの言い分も分かるけど我々は納得できない
じゃあ入るってことでいいよね?
ていうか絶対入らなきゃいけないんだ
他から白い目で見れるぞ、それでもいいのか?
後々嫌な役回りが回されるぞ、覚悟できてんのか?

回答練習、シミュレーションは繰り返せば繰り返すほど望ましい。実際、同じ質問と同じ回答を何度も何度も繰り返すことになるからだ。
※ただあまり練習しすぎてしまってあまりにもスラスラハキハキして余裕で答えていると、それはそれで訝しまれるので注意

回答、つまり断る理由については各々の環境によって変わってくるが以下に大まかなケース毎に分けておいた。

ケース別 普通の会社員の断る理由

この場合は、仕事を理由にするのが比較的断りやすいと思う。

ここに当てはまる人が大半だと思う。このケースは個々人によって大きく状況が変わるので一概には言えないが、家庭環境を強く引き合いに出すのは悪手になることが多い。

「それを言うんだったらこっちも同じだよ。○○さんだって2人も子供もいて、夜勤もあるのにやってるんだ」

というような答えが返ってくるだろう。現団員の方により過酷な状況でやっている人がいるのに、それを引き合いに出して押し通ろうとするのは悪手である。
仕事を理由にすれば、消防団に同じ会社の人がいない限り、実際どれくらい余裕があるかなんて指摘できないので一番無難と言える。

ケース別 公務員の断る理由

公務員はかなり不利な立場にある。
一部の職種、一部の課を除いて公務員は勤務時間帯、休日が極めて安定しているため消防団の誘いを断ろうと思ってもその理由が論理的、倫理的にはかなり弱くなるからだ。地方公務員などであれば地元への定住はほぼ確定と言ってもためさらに分が悪い。

また、同じ職場にも団員がいるケースが多く、この場合は永遠と勧誘が繰り返されて進むも地獄引くも地獄の状態になることもある。

それでも断ろうと思ったら、理由の中身よりも「どれだけ突っ張れるか」の一点に成否がかかっていると言えるだろう。

ケース別 自営業の断る理由

会社員の場合と同様に、仕事を理由にするのが一番断りやすい。

そして他のケースと比べると少し有利な立場にある。自営業の場合は実際的な勤務時間などはないので、ほぼ自己申告である。
もちろん人によって差は大きいが、実際、勤務時間も他と比べると長いことが多いだろう。

なにより仕事の成果が直接的に収入、生活に関わってくるために、それを引き合いに出されると相手も無理を言いにくい。
会社員のように休日や退社時間が明確ではなく、プライベートの時間と仕事の時間が曖昧なのもポイントだ。
だが絶対に油断してはいけない。それでも多くの人が断れずに入ってしまっているのだから。

共通部

キーワードは「いや……」「でも……」である。

どのケースであっても、この言葉を回答の頭につける意識をすることが大事だ。

あげ足をとられたり説明の矛盾をつかれて返す言葉が見つからず苦しい雰囲気になっても、あぁ○○さんすごく怒っているなぁこれからギスギスしちゃうのは嫌だなぁと思っても、第三者から見てどんなに君に分が悪くても、反論する言葉が見当たらず痛い沈黙が流れても、この勝負に関しては君が負けを宣言しないかぎり、君は負けない。

そして冒頭で話したとおり、負けなければ君の勝ちだ。

こういう姿勢は実生活ではマイナスに働く方が圧倒的に多いだろう。悩ましげにずっと同じ問答を繰り返して承諾しない姿ははたから見れば優柔不断そのものだ。

しかし、この場、この目的においてはそれは最善手である。断固たる決意で優柔不断になるのだ。

 

 

説得に負けそうだけどどうしても入りたくない時の裏技

最後にある意味裏技のようなものを紹介しておく。どうしても入団するのが嫌な人の最終手段と言ってもいい。
※これができる人というのは限られているだろうし、やるとしても影響が大きいため、仮にできるとしても実際にするかどうかは個々人の判断に任せる

それは「住所変更、引っ越し」である。

地域が違えば物理的に活動に参加できないためまず勧誘されないたろう。仮に勧誘中であっても
「近々、別の市に引っ越しすることになりまして・・・・・・」
と言えばそれ以降勧誘には来ないだろう。

消防団の住所要件からも外れる。

消防団員の任用及び保障
その地域に住所を持つ人(および、その地域に勤務地を持つ人[1])が消防団員に応募することができる。

引用元:消防団員 – Wikipedia

※補足※
ちなみに、実質的な居住地が変わらなくても、住所が別の地域であれば対象外とする地域もあるようだが、
多くの地域の消防団では居住地域が同じであれば、訓練や出動に影響しないとして問題なく勧誘するようだ。

 

 

あとがき

こんな究極的に頑で固定した立場の記事を書いたのは消防団に入るべきか入らざるべきかがいささか難しい問題であるにもかかわらず、これくらいの決意と覚悟を持たなければ強い同調圧力によって入らされてしまう入ってしまうことにある。

そして前述の通り、一度入団すると抜けることが非常に難しい状況になっているため、自分の意思で入団にちゃんと納得するまではその立場を保全しようという助力がこの記事の役割なのである。

個人の自由と社会への奉仕という憲法でも苦心するような議題でもあり、両者の言い分は甲乙つけがたいが、少なくてもまだ納得がいっていない諸兄らにおいては、この難題に対して努々軽率な行動を謹んで欲しいと思うのである。

P.S.

ぼくはきょういのちからがらにげましt