ETCレーン優先化に見る、人の職種減少の足音
2016/01/13
今日の報道でちょっと気になるものがありました。
国土交通省は高速道路の料金所について、遠回りせず本線に直進できる優先レーンをETC専用に変える方針を決めた。より便利にすることで現状9割の利用率のアップを目指す。首都高速で始め、阪神高速など全国への拡大を検討する。
首都高速では7月下旬、三軒茶屋入り口(東京都世田谷区)で現金支払いとETC専用レーンを入れ替えた。首都高では、現金支払いレーン(ETCと併用も含む)が優先され、ETC専用レーンに遠回りさせる料金所が28カ所あり、2~3年で全て切り替える。
国交省は都市部を中心に各地の料金所のレーン入れ替えを進める。全国の高速道の料金所では、1日あたり約644万台がETCを使い、利用率は90・1%。高速道路会社が負担するコストは、現金支払い車は人件費がかさみ1台あたり182円だが、ETC車は36円で、ETC車の普及を目指している。(峯俊一平)
簡単に言えば、
「ETC利用者が全体の9割なので、その大多数側がスムーズに利用できるような作りにしましょう。遠回りしなくて済むようにしましょう。」
というのが今回の発表になります。
この入れ替え工事は全国28箇所で行われるとのこと…当然けっこうな費用がかかるはずです。にもかかわらずレーンの場所を入れ替えるというどこまで効果あるのかよく分からないのを断行するのは、やはりこの数字でしょうね。
36円 対 182円。
ETCのコストが36円に対して、現金支払いのコストが5倍の182円。
効果があまり期待できない効果が出るか断言しづらい施策を打ち出すのは高い人件費を削っていきたいからでしょう。
ただ現状9割というのはほぼ天井の数値だと思います。実際ここ数年のETC利用率は伸び悩んでいます。
参考リンクETC利用状況の推移
この状況の中、レーンを入れ替えただけで果たして工事費に見合うだけの効果を出してくれるかは個人的にとても疑わしい気がしますが、今回はそれについては深く言及しません。
今回言いたいのはこの報道の中では言及されていない「職種の減少」についてです。
報道内容を見てまず思ったのは、今言ったレーン入れ替えの効果うんぬんということですが、人の職業の種類が減っていく1つの風景だとも感じました。
当たり前ですが、行政側としてはETCの普及率は100%が望ましいわけです。決して「ETCが95%で現金支払いが5%が理想!」とは思っていないでしょう。そこを目指すメリットがないですからね。
高速道路に配置しておく係員を可能な限り0に近づけるのがこの施策の目的…。
ぼくが言うまでもないことですが、世界では今、自動化という不可逆の波が起こっています。
単純なオペレーションや確認の仕事は無くなっていくのです。
世界大戦が起こって一面焼け野原にでもならない限り、今後この流れが変わることはないでしょう。
注文を受けるだけのオペレーター
荷物を所定の位置へ搬送するだけのドライバー
データを入力するだけの事務員
そういった職業は無くなってしまうのです。
こんな事例は山ほどありますし、もうみんな分かりきっていることだとは思いますが、こういう何気ないニュースの中にもそういった流れがあるなぁと思って記事にしてみました。
ちなみに個人的には機械に仕事がとって代わられること自体は悪いとは思っていません。ぼくらは暇になった時間を使って機械にはできないことを考えていくべきでしょう。
そうやってこれまでになった職種がまた増えていく。人間は新しい発明をする度にそうやって来ましたからね。