「この女に賭けろ」の感想。日本財団学習マンガ100選その18
2017/02/26
その女、豪胆につき。
参考リンク「聲の形」の感想。日本財団学習マンガ100選その1
前置きこの記事は基本的にストーリー上の具体的なネタバレ無しでお送り致します。
この女に賭けろ
今回は周良貨さん原作、夢野一子さん作画の「この女に賭けろ」です。
この女に賭けろのあらすじ
中堅都市銀行・よつば銀行の女性総合職・原島浩美は、グループでも成績最下位の台東支店への異動を命じられる。渉外担当となった浩美は、支店の業績を上げるために新規取引先の開拓を提案。顧客ニーズの的確な把握と大胆な交渉で、これまで獲得できなかったシンワ商事との取引に成功する。その後も浩美は、顧客のために銀行が果たす役割とは何かを中心に考えながら、負債を抱えていた渡辺興産のテーマパーク事業に道筋をつけ、ベンチャー企業の日本マイクロテクノロジーを企業乗っ取りから救う。多額の負債を抱えた城北総合開発の再建に本店と共同で携わることとなった浩美は、バブル期によつば銀行の勧めるままに融資を受けたことが負債の原因であり、その窓口となったのが副頭取の島津だったことを知る。交渉の場に島津を引き出したものの結果的に同社の再建は失敗し、浩美と台東支店は副頭取に目をつけられる。
この女に賭けろの感想
このマンガは銀行マン……いや銀行ウィメンの話です。学習マンガとしては「銀行」に関する学習マンガといった位置づけでしょうか。
でも個人的には銀行について学ぶというよりは「もしこういう女性がいたら……」というドラマ的なものに感じました。
いろんなマンガがありますが、ここまで図太いというか動じない主人公は見たことがありません。作中のセリフにあるように「女は度胸」を体現しているような人です。それでいて傲慢さが1mmもないのが魅力的。不思議な人物像ですね。また作中のセリフを借りるなら「できる人なのに面倒を見たくなる」という感じでしょうか。
物語自体は一行員である女性(原島浩美)が銀行のいろんな難問に挑んでいく、みたいな話。
でも銀行の実情をリアルに描いているという感じではないなぁと思いました。ドラマ的に描いています。
あ、「企業間やその内側でいろんな思惑があるなか、どういう動きをするべきなのか」みたいなのもありますね。
そういう意味ではサラリーマン金太郎とかをおっとり女性テイストにしたものに近い……かも。
ちなみに前半(6巻くらいまで)と後半(7巻以降)でストーリーのテイストが少し変わります。
後半はけっこう権力抗争臭が強いです。まぁ物語の集大成としてスケール感を出すと自然にそうなることだとは思いますが。
個人的に好きなシーンは4巻の最初の丹波さん夫婦のくだり。ほっこりします。あと6巻のミスターケイシーと島津頭取のやり取りとかはかなりシュール。
けっこう昔の作品なので作画は苦手な人がいるかもしれませんが、ぼくは読んでいるうちにけっこう引き込まれる感じがしました。