「東京トイボックス」の感想。日本財団学習マンガ100選その8
「他人の人生をそこまで拘束しておいて何も残らないようなモノなどいったいなんのために作るというんです?」
今回の学習マンガ感想シリーズは「ゲーム作り」について。
参考リンク「聲の形」の感想。日本財団学習マンガ100選その1
前置きこの記事にはあまりネタバレをしないようにできるだけ頑張っております。
東京トイボックス
今回はうめ(小沢高広・妹尾朝子)さんの「東京トイボックス」です。
東京トイボックスのあらすじ
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東京トイボックスの感想
ゲーム製作会社、ゲーム作りのマンガです。仕様変更、納期、違約金、デバック、デスマ………うっ、頭が………
ゲーム作りをしている人というのは程度の差はあれどゲーム好きな人が多いとおもうのですが、そういう人であれば特に共感できるものがあるんじゃないかな、とか思いました。そうじゃない人でも自分の仕事とかにこだわりとか何らかの想いがある人であれば共感するところがあるでしょう。
で、この東京トイボックス自体は2巻で完結しているんですが続編に「大東京トイボックス」というのがあります。
この続編、とてもおもしろいです。むしろ東京トイボックスよりも東京トイボックスらしく、いろんな面で本作(前作)を上回っていると思います。
自分が好きなものを見つけて、自分が好きなものを仕事にできるように頑張って、なんとか報われてその仕事をすることができて、でも最初に思い描いていた理想とはだいぶ違っていて、好きだったはずのものに自信がもてなくなって、逃げ出して、でもやっぱり捨てきれなくて……という好きなものを仕事にするというなかで生まれる葛藤や成長を描いています。
表現のこと。レーティングのこと。開発ハードのこと。ゲーム製作会社でぶつかると思う壁を描いています。
今現在も続いているコンシューマーゲームとソーシャルゲームの衝突を描いています。
ゲームにかける情熱、その情熱とビジネスとのジレンマ、走り続けることのつらさ、そこにある人間関係、モノを作ることのギリギリさ、思い込みと英断の違い、優柔不断と辛抱強さの違いを描いてます。
正直大東京トイボックスの方がイイ。全然イイ。おもしろい。学習マンガ的にもこっちの方が絶対イイ!!…………序盤~中盤は。
終盤でけっこうテイストが変わるんです。最後のほうはあきらかにゲーム作りのマンガとは違った雰囲気になります。そこが意見のわかれどころかなぁと。(作品をまとめたり一つの意見を出す上で必要なことだったのかもしれませんが)
これを考えると「ゲーム作り」というテーマで言えば東京トイボックスの方がシンプル。だから学習マンガ100選にもこっちが選ばれたのかなぁ。
ただ個人的には大東京トイボックスの方をおすすめします。おもしろいし熱いしいろいろ学べるから。