NHKを見て思う宮崎駿監督とドワンゴ川上氏とサンデル
NHKスペシャル「終わらない人 宮﨑駿」。
この番組は放送されるなり話題になって、タイムラインをにぎわせた。
(はてなだとこんな記事を見かけた)
ところで今年の夏頃にこんなツイートをしたことがある。
争いは価値観と事実認識の2つのうちどちらかが対立していることによって起こる。
事実認識は頑張っていけば一致することも多いけど、違う価値観を一致せるのはとても難しいなぁ。一致させるのがいいことなのかどうかも難しいところだなぁ— ための (@bokuranotameno) 2016年7月31日
最近は価値観を戦わせない。
価値観というのは力の無い正義みたいなものでひどく根拠に乏しい。論理的に帰結させれる類のものでもない(今のところは)。
だからなのか、最近は価値観の衝突がほとんどなくなったように思う。
戦っても決着がつかなそうだからもう勝負するのはやめよう、という話である。相対主義の隆盛だろうか。ぼくも最近は自分の価値観がどんどん薄くなってしまっているような気がしている。
件の番組の話に戻そう。
いろんな人が言うように宮崎駿監督は傲慢で絶対主義的なところがあるのかもしれない。
ただドワンゴ川上サイドに無くて宮崎駿サイドに有るのは価値観の主張である。
宮﨑駿監督の極めて不愉快だ、という言葉に対しての川上氏の「これってほとんど実験なので……」という返答にそれが色濃く出ているように見える。
そして監督が危惧しているのはもしかしたらそこではないかと若輩ながらぼくは勘ぐっていたりもする。
価値観はとりあえず置いておいていろいろやってみよう、という川上氏サイドに対してそれを置いておくとはいったい何事かという批判である。
番組内でも宮崎監督は(川上氏自身の価値観うんぬんではなく)実験だということは本当によく分かっているつもりだ、と発言している。つまり、分かった上で批判している。
そういう意味で宮﨑駿監督は価値観の争いを起こす貴重な存在なのではないだろうかと思う。
それが良いか悪いかはそれこそ価値観によるのかもしれないけど。