クマンバチでもノミでも
2016/06/24
クマンバチは本当は飛べない物体なんだ。
でも、飛べないことを知らないから、飛べるんだよ。
ぼくの好きな言葉です。
少し前の航空力学では大きくて重い体に見合わずハネがとても小さいクマンバチ(クマバチ)が飛行できる理由がどうしても説明できず、さじを投げた科学者が「クマンバチは自分が飛べないことを知らないから飛べるんだ」と言い捨てたのがはじまりだそうです。
それを詩的にまとめたのがこの斎藤茂太さんの言葉。
あれですね。無知ゆえのなんとやら。
そういった話からクマンバチは「不可能を可能にする象徴」とされています。可能性の虫……なんというUC。
これとセットでぼくが思い出すのはノミです。あのちっちゃいノミ。
ノミは跳躍力が非常に高く、自分の体長の60倍もの高さまでジャンプすることができるそうです。(ノミの大きさ自体は数ミリ程度ですが20~50cmくらいは跳べるっぽい)
このノミの生体について調べたある有名な実験があります。
まずノミを普通だったら跳び出せるような高さのビンの中に入れます。当然入れたそばからぴょんぴょん飛び跳ねてビンから出てきます。
そこで今度はビンにフタをします。天井を作るわけですね。
これでノミは飛び跳ねても毎回フタにぶつかってビンから出ることができません。
そのまま3日ほど放置した後にビンのフタをあけると、さてどうなるでしょう。
なんとノミはビンの高さ以上には跳べなくなってしまっているのです。
ちなみにこの中に新しくノミを入れて、そのノミが普通にビンから跳び出るのを見るとそれまでビンの高さ以上に跳べなかったノミももともとの高さまで跳べるようになってビンから出るそうです。
さっきのが不可能を可能にしているという話なら、こっちは可能を不可能にしているという話でしょうか。
これはある種の防衛本能とも言えるでしょう。生きていく上で必要不可欠なものでもあります。
ただ問題は、それが時として致命的に間違ってしまうということ。
ノミは本当は跳べる生き物なんだ。
でも、跳べないことを知ってしまったら、跳べないんだよ。
-ための