企業側のマイナンバー対応の仕方を簡単にまとめてみた
来年1月から利用開始されますね。マイナンバー制度。
………え、あと3日しかないじゃないですか。
ということで「企業側がマイナンバー制度にどう対応しなければいけないのか」を簡単にまとめてみました。
一通り把握するような大まかなものですが、そのぶん分かりやすいんじゃないかと思います。(手前味噌)
参考になれば幸いです。
さっそくいってみましょう。
※なお2015/12/29現在の法令に基いて書いています。その後法改正等で若干利用方法が変わる可能性もありますのでその点は何卒ご留意ください。
企業側がやらなければいけないことは簡単にまとめると3つ
1.従業員やその扶養親族等からのマイナンバー取得
2.マイナンバーの保守管理
3.厚生年金、税務、雇用保険などの番号記入を求められた際の記入
大きく分ければやるべきことは基本的にこの「取得」「保守」「記入」の3つだけです。
では具体的にどうしたらいいのかをもう少し掘り下げていきましょう。
1.従業員やその扶養親族等からのマイナンバー取得
従業員からマイナンバー(個人番号)を取得しましょう。従業員に扶養親族がいる場合はそちらも取得する必要があります。
この時取得したマイナンバーは雇用保険、健康保険、扶養控除等申告書等の手続きの際に利用します。
1-1.従業員のマイナンバーを取得する際の手順
1.従業員に利用目的を説明する
健康保険厚生年金保険届出事務、雇用保険届出事務、源泉徴収票作成事務の手続きの際に利用するという目的を伝えましょう。口頭だけではなく書面でも伝えるように。
2.マイナンバーを取得する
こちらも書面で取得しましょう。扶養控除等申告書の提出の際にマイナンバーの記入を求めているところが多いようです。
3.提出されたマイナンバーに該当している本人か確認する
個人番号カードにて確認した場合はこの確認作業は不要ですが、通知カードや住民票等で確認した場合は運転免許証等での本人確認を義務づけられています。
1-2.扶養親族のマイナンバーを取得する場合
従業員が「扶養控除等申告書」を提出する場合、扶養親族の本人確認は不要です。
ただし「国民年金第3号被保険者関係届」の場合は扶養親族の本人確認を企業側がしなければいけません。
その際は以下の3種類の書類を提出してもらう必要があります。
1.代理権確認書類(戸籍謄本または世帯全員の住民票等)
2.従業員の身元確認書類(従業員の個人番号カードや運転免許証等)
3.扶養親族本人確認書類(扶養親族本人の個人番号カードや通知カード等)
1-3.その他取得が必要になる場合
なお以下のような法定調書を提出する際は従業員やその扶養家族以外からもマイナンバーを取得することになります。
法定調書の名称 | 対象となる取引 | マイナンバーを収集する相手 | 提出期限 |
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 報酬や原稿料、講演謝金の支払いなど | 税理士、社会保険労務士、原稿の著者、講師など | 支払いの確定した日の属する年の翌年1月31日まで |
不動産の使用料等の支払調書 | 地代家賃の支払い | 地主、大家 | |
不動産等の譲り受けの対価の支払調書 | 不動産等の譲渡対価の支払い | 不動産等の譲渡者 | |
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 | 不動産の売買や貸付のあっせん手数料の支払い | 不動産の売買や貸付のあっせんをした者 | |
配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書 | 利益の配当、剰余金の分配又は基金利息の支払い | 株主 | 支払確定日(記名)又は支払日(無記名)から1ヶ月以内 |
引用元:中小企業のためのマイナンバー制度実務対応ガイドブック TKC出版
いずれも上記で紹介したような法令で定められた目的以外での取得は禁止されています。
2.マイナンバー(個人番号、法人番号)の保守管理
取得したマイナンバーは情報漏洩がないように厳重に管理しなければいけません。
2-1.マイナンバーを取り扱う際のルールの整備と徹底
具体的に「代表取締役と経理部の人間だけが取り扱えるようにしなければいけない」といった枠組みが決められているわけではないようですが誰が取り扱えるのか、いつ取り扱えるのか、どのように取り扱えるのか、紛失などのイレギュラーが起きた場合はどうするのか、といったことを自社のルールとして明文化して周知徹底する必要があります。
2-2.マイナンバーデータベースへの不正アクセス防止対策
これも具体的に「セキュリティソフトの○○をインストールしなければいけない」「暗号化されている給与計算ソフトの△△または□□を使わなければいけない」「マイナンバーを扱うパソコンを外部ネットワークから完全に独立したスタンドアローンにして特定の人間しか入れない部屋に設置しなければいけない」といったルールが決められているわけではないようですが、そういった情報漏えい防止対策に努める必要があります。
3.厚生年金、税務、雇用保険などの番号記入が求められた際の記入
マイナンバーは取得の時点で利用目的が決まってなければいけないものなので、取得してからどう使えばいいか分からなくなることはないでしょう。
さきほどの「1.従業員やその扶養親族等からのマイナンバー取得」の項目で紹介した健康保険厚生年金保険届出事務、雇用保険届出事務、源泉徴収票作成事務や法定調書作成など、必要な時に適宜利用しましょう。
なお、マイナンバー情報を不正に取得したり盗用、漏洩させた場合は番号法違反となり罰則が課されますのでくれぐれもご注意ください。
参考リンクhttp://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/faq/pdf/faq5_2.pdf
番号法 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/bangouhou.pdf
あとがき
記事を読んでくださった方々も感じたかもしれませんが「具体的にこうしなければいけない」といった厳密な枠組みはそこまでありません。今のところは。
小さな町工場から世界のトヨタまで全企業で保守管理、運用方法の足並みを揃えるというのは無理があると国もわかっているのかそれとも実際どうしたらいいか分かんないから丸投げしたのか
いずれにしても国や会計事務所から聞かされている限り制定されているのは文字通りガイドライン。
具体的な対応方法は企業側の裁量に任されている部分も多いです。
その分なあなあにしがちだと思いますが詳細な取り決めを行う際はこの記事の他、国のサイトなどもチェックして対応するようにしましょう。
参考リンクマイナンバー社会保障・税番号制度
甘く見て違反しないようにしなきゃですね。
あ、あと国のサイトでも警告してますが今緊急性をあおって喧伝されているマイナンバー用の○○みたいな詐欺にはご注意を。