ぼくらの研究

ぼくらのための研究をしていきます。

Pepper君の説明で完全に間違っていること

      2016/01/13

Pepper

先日一般発売されましたね、パーソナルロボットのPepper(ペッパー)。

あれね。

いい試みだと思うんですよ。ホントに。

でもPepper君の説明でどーーーしても承服できない事が一つ。

 

Pepperの誤解をまねきまくる説明

2015/06/25現在ソフトバンクのページで紹介では

世界初、感情を持ったパーソナルロボット 「Pepper」

と紹介されていて、Pepperの最初の発表会でも

ノイマン型コンピュータ:プログラミングで動く
パーソナルロボット:家族の喜びのために動く

と比較されて紹介されていました。

 

これはつまり

・感情を持っている
・プログラミングで動くわけでない

ということを示唆しているわけですが、これはどちらも間違っていると言わざるを得ません。

 

 

まず「プログラミングで動くわけでない」というふうに示唆されている点について。

ソフトバンクの説明会では「従来のノイマン型コンピュータはプログラミングで動いていましたが、このPepperは違うんです!」とばかりに押し出されていましたが、これは完全に誤りです。

Pepperはこれまでのノイマン型コンピュータと同様にプログラミングで動いています。
自己学習して、データを更新していくとしても従来のコンピュータと同様に
「予め設定された式に則って動く」
ということに全く変わりはありません。

Pepper君が新しい物を学習したりするのも、簡単に言ってしまえば
あらかじめ設定しておいた数種類のデータを計測して、
あらかじめ設定しておいた式に従ってパターンにあてはめ、
あらかじめ設定しておいたパターンに従って行動しているに過ぎません。

量子コンピューター等を積んでいるのであればわかります。(あれは従来の論理の枠組みのものではないので。)

でも現状そうではない。

他と同じようにプログラミングに動いているにもかかわらず、
「プログラミング動く」→「家族の喜びのため動く」
と、「で」を「に」にして巧妙に表現を変えているのが…。

まぁここもソフトバンクの打ち出し方の上手さだとは思いますが、
ここまで曲げて広げて解釈するというのは個人的にどうしても承服できません。

 

次に「世界初の感情を持つロボット」と説明している点について。

当たり前ですが、Pepperは本当の感情を持っているわけではありません。

ソフトバンクのオフィシャル販売ページで

Pepperには表情と声からその人の感情を察する「感情認識機能」が備わっているだけでなく、独自の感情機能により、自ら感情を持ち、行動します。

と断言していますが…
さきほど説明したようにPepperの行動というのはあらかじめ設定してある式に基いて行動しているだけです。

それを感情と呼ぶのなら、感情は特定の傾向を持つロジックということになります。
その哲学的な実否はとりあえず置いておくとしても、これまで開発されてきたロジックと根本的には違いのないロジックではとても世界初の感情とも感情に近似的なものとも言えません。

真面目にロボット工学や心理学、哲学を学んだことがある人なら誰でもこの説明には違和感を感じると思います。

ですのでちょっと勢いでこの記事を買いてしまいました…。

Pepperのすごいところ

何もPepperがすごくないと言っているわけではありません。

Pepperがすごいところは今までとは違う画期的な技術を使っているということではなく、人の身近にいるロボットとして普及させたことです。
あの値段であのロボットが出せるのはさすが孫さんというところでしょうか。

孫さんが言うように未来から見たときにあれが第一歩だったというのもあながち大げさな話ではないとも思います。

そんなことを考える今日このごろ。