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新国立競技場の現状と問題点を考察してみた

      2016/05/13

新国立競技場

新国立競技場の建設にあたってはいろいろな意見が見受けられますが、今回は可能な限り色眼鏡を外して情報を客観的に考察していきたいと思います。

あと、なるべく分かりやすく、簡潔に。

(2016/3/4情報更新)

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新国立競技場とは

新国立競技場(しんこくりつきょうぎじょう)は、国立霞ヶ丘陸上競技場の全面建て直し工事によって建設される予定の競技場。東京都の新宿区と渋谷区にまたがる。2019年ラグビーワールドカップおよび、2020年東京オリンピック・東京パラリンピックのメイン会場となる予定である。

引用元:新国立競技場 – Wikipedia

 

簡単に言えば、2019年ラグビーワールドカップと2020年東京オリンピックの会場となる予定の競技場ですよー、ということですね。

ここまではみなさんご承知の通り。

※2015/07/17に安部総理がラグビーワールドカップには新国立競技場で開催できないという旨の内容を発表しました。

参考リンク新国立競技場 首相「計画を白紙に戻す」

新国立競技場建設の目的

次にその目的をはっきりさせなければいけません。

目的を把握して初めて、何が問題で何が良いのかが分かるのですから。
逆に言えば、この競技場の目的を設定していない議論は良い悪いの判断のしようがないので不毛。

 

「新国立競技場はいったい何のために建てるのか?」

です。

この目的をなるべく簡潔に考察したいと思います。

1.稼ぐための施設

「4兆円の経済効果があるオリンピックを開催するため…」
「オリンピック開催後もスポーツ大会やコンサート等で収益を…」

というのも端的に言ってしまえば

「稼ぐ」

ということに集約されます。

この競技場の大きな目的の一つは経済効果だと言っていいでしょう。

2.国内外への威信

軽視されがちですが、人は(人によって構成されている国も)イメージによって動いている部分が大きいです。

地政学等を学んだ人にとっては今更な話だとは思いますが文化面、その国に対するイメージというのはあらゆることに影響を及ぼします。(間接的ではありますが経済的にも大きな影響を与えます。)

なので立派な施設、いい感じの施設を作ることで諸外国や日本国内の人に
「Japan is cool」「日本はやっぱ立派だなぁ」
と思わせることも大きな目的の1つ。

 

新国立競技場についてはいろいろな方がいろいろな意見を言っていますが、ぼくが調べた限り新国立競技場の目的はこの2つ以外にはないと思います。
(万が一他に発見したら是非ご連絡を。念の為に断っておくと、諸理由からスポーツの発展に寄与するという目的は外しています。)

 

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新国立競技場の現状、問題点

さっき考察した事を踏まえると、何が問題なのかが浮き彫りになってきます。
新国立競技場の建設の目的はさっきの「収益」「威信」の2つなので、後はこれらをいかに上手く(早く、ローコストで、確実に)達成するか、ということに終始します。

逆に、遅く、ハイコストで、不確実になると目的の達成が阻害されます。
これが「問題」です。

では現在の具体的な問題を挙げていきましょう。

 

建設費の高騰

収益の達成:ハイコストになる
威信の達成:-

当然建設費が高くなった分だけ収益が減ります。

ちなみに勘違いしている人が多いですが、経済においては支出=誰かの収入となりますから、単純に「お金がかかる→悪い」とはなりません。
ここに書くと長くなりそうなので、上記が納得できない人は以下の記事をご覧ください。(手前味噌で恐縮)

参考リンク世界一分かりやすいと思う「30分で判る経済の仕組み」

※ただこれとは別に「国の外へお金が流れたら日本としてはダメだ」「価値の無いモノ(余計なモノ)を作って金だけ回しても意味が無い、むしろ時間がかかってる分マイナスだ」「あっちにはいっぱいお金が流れてるけど、こっちにはこれしか流れてこない!」とかが問題としてとり上げられるわけですね。

 

ちょっと脱線しましたが、建築費の高騰。

新国立競技場の建設予算は2015/07/15時点の試算で2592億円で当初の1300億円のほぼ倍になっています。

参考リンク「新国立競技場、もう72億円かかります」2520億円に歩行者デッキ費用が含まれていなかった

 

威信(イメージの良し悪し)の変化は予想できないので、ここでは言及しません。
国内外が「まぁなんて高級な建築物でしょう、ご立派」と見るか、「こんな無駄なことにお金を使って…」と見るかはちょっと分からない…という話ですね。

(2015/12/22追記)
新しいデザインが採択され、その建築予算は約1500億円となっています。

競技場の年間維持費が高い(収支が赤字)

収益の達成:ハイコストになる
威信の達成:-

年間の維持費は現在のところの見積もりとしては70億となるようです。(35億の見積もりは素人目でも未計上の部分が分かるので無視。)
対して年間収入の予想は甘い見積もりでも38億。赤字。

参考リンク新国立競技場、船頭なき”大艦”の視界不良

これも威信についてはさきほどと同じ理由で言及しません。

(2015/12/22追記)
新しく採択されたデザインの年間維持費は35億程度になるとのこと。

 

建設計画に未定部分が多い

収益の達成:遅く、不確実になる
威信の達成:遅く、不確実になる

さきほどの参考リンクの記事からも言及されていますが、競技場建設の具体的な工程がまだ決まっていません。
従って工期、準備することも不確定部が多いです。

(2016/03/04追記)
現行の建築デザイン案には競技場内の聖火台設置が盛り込まれておらず、またスペースの問題の他にも屋根部分に木材が多く使われていること等から競技場内の設置が難しいことが発表されました。

デザイン変更の他、聖火台設置が競技場の外になることも含めて検討していくとのこと。

リーダー不在

収益の達成:遅く、不確実になる
威信の達成:遅く、不確実になる

2015/7/15時点では担当大臣、総理、都知事や森氏等が大きく関わっているものの、いずれも権利と責任を持つリーダー(トップ)とは言えない状況です。
これは建設、運営指揮そのものの進行が遅れますし、不確実性も増します。

 

どの道をとるべきか

最もやってはいけないこと

誰もが(たぶん)分かっていることだとは思いますが、これは

オリンピック開催ができなくなるorかろうじて開催ができても正常に運営できない状態になる

こと。

さきほど挙げた2つの目的から見ても壊滅的な失敗です。

「いや、年間数十億円の赤字を垂れ流すものを作るんだったら、恥を忍んで史上初でも開催を取りやめるべきだ。統計が出ていると言ってもオリンピックの経済効果も怪しい。ダメなものを作るくらいならいっそオリンピックを辞退した方が日本人としての美徳を保って国を存続できる。」

という意見もあるかもしれませんが、2つの目的を考えた時にどちらの点で見ても妥当ではないと思うので、大変恐縮ですが今回の記事ではこれを最もやってはいけないこととします。

対策

こういった現状を踏まえて、いろいろと対策をとった場合にどのように変化するのかを簡潔にまとめたいと思います。

デザインの変更

収益の達成:ローコストで不確実になる
威信の達成:不確実になる

当初の試算から大きく高騰した建築費用の原因になっているデザインを変更することで、建築費用を削減しようという案。

で、実際問題今から新たなデザインのコンペをして間に合うのか、安全にきちんとした競技場が建設できるのか、という点は(ぼくも含めて)多くの人が注目しているところだと思いますが、自分が判断できるものではないので言及できません。申し訳。

ただ、一般的に工期に余裕がない中での変更というのは目的達成の不確実性を上げます。

(2015/12/22追記)
新しいデザインが採択されました。

参考リンク新国立競技場新デザインA案とB案の違いを表で簡単に比較してみた

(2016/1/15追記)

現在ザハ・ハディド氏が日本側と採択された競技場の著作権をめぐって協議中とのこと。
ザハ氏側の声明によると、JSCから監修デザイン未納代金の全額支払いをするかわりに本デザインの著作権を譲るよう書面で要請されたが拒否したとのこと。

リーダーの選任

収益の達成:確実性が増す
威信の達成:確実性が増す

ボトムアップが好ましい場合もありますが、こういった大規模なプロジェクトはトップダウンでリーダーがゴリゴリと進めていく以外に有効な手段はありません。
リーダーを選任しない理由が無いと思います。

 

天秤にかける

リーダーの選任はもはや実行しない理由がないと思いますが、デザインの変更に関しては

オリンピックによってどれくらい経済効果を見込めるのか、
それに対して現在許容できるコストはどれくらいか、
デザインを変更した場合にどれがどうなるのか、
現行のデザインでいった場合にどうなるのか、

そういったもろもろを天秤にかける必要があります。

 

現場の状況を直接見たわけではなく、数字を集めきれたわけでもないぼくは天秤にかけることができないのですが、
参考までに現在発表されている数字を集めてみます。

 

現在の新国立競技場、東京オリンピック関連の数字

※ちなみに情報が入り次第ここの数字は更新していく予定です。

 

2020年東京オリンピック経済効果:2兆円~36兆円

参考リンク東京五輪の経済波及効果は約3兆円?専門家から厳しい声も

参考リンク2020年の「東京オリンピック」、経済効果はどれぐらい?

2019年ラグビーワールドカップ経済波及効果:866億円

参考リンクラグビーワールドカップ2019開催分に伴う経済波及効果|東京都

※2015/07/17に新国立競技場でのラグビーワールドカップ開催は取りやめること旨の発表があったため、参考記事の経済波及効果よりは規模が小さくなると思われます。

新国立競技場の予定建築費:1490億円

※前述参考

新国立競技場予想年間維持費:35億円

※前述参考

新国立競技場予想年間収入:~38億円

※前述参考

ザハ・ハディド氏への監修料:13億円

参考リンク新国立問題、JSC「デザイン変える方がリスク大」

既に支払っているデザイン、設計費用(ザハ氏への監修料も含む):62億円

参考リンク新国立競技場 さらに設計会社に3億7000万円支払っていた…合計62億円がムダに

確保済みの財源:626億円(国費の392億円、スポーツ振興基金切り崩しの125億円、スポーツ振興くじ売上5%の109億円)

参考リンク【新国立競技場】東京都の費用負担、国と都が作業チーム設置へ 舛添氏「できるだけ協力」

東京オリンピックの運営費用:1兆8000億円

参考リンク東京五輪の運営費1兆8000億円 当初見込みの6倍 NHKニュース

 

ご参考まで。

 

以上、冒頭の繰り返しになりますがこういった問題は、1つの事柄やその印象だけで決めつけることがないように冷静に判断していきたいですね。

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