ぼくらの研究

ぼくらのための研究をしていきます。

シーシェパード・オーストラリアが米国裁判所の判決(和解)を無視できる理由

      2017/02/26

くじら

今日は久しぶりに時事ネタについて触れておこうと思う。

参考リンクシーシェパード「そんなの関係ねえ」 日本側との和解無視、どういうこと?

 

ざっくり簡単にまとめてしまえば

2016年8月23日、アメリカ連邦地裁で”シーシェバードに和解金を払うから日本の調査捕鯨への妨害を永久に行わない”ってことで合意したばかりなのに、オーストラリアのシーシェバードが「アメリカはアメリカ。うちは関係ないから。うちはこれからも捕鯨行為を妨害しますよ」と宣言したという話。

参考記事によればシーシェバード・オーストラリア代表のジェフ・ハンセンは

オーストラリアのクジラ保護区でのクジラの虐殺を禁止するオーストラリア連邦裁判所の判決の効力が残っている。アメリカの裁判所での和解は、オーストラリアでは法的な効力は全くない

と言っているらしい。

ようやくシーシェバードの妨害から開放された一安心だと思っていた日本にとってはため息をつきたくなるような事態だろう。

さらに実働部隊はアメリカ本部ではなく、このオーストラリア支部だというのだから困ったものだ。(それでもアメリカ側からの物資支援が絶たれるので効果はあるだろうが)

 

今回ポイントになっているのは、この裁判所の法律を「無視できる」ということだ。違法ではない。

そもそも法律というものは国をまたいで効果を発揮することができない。

これは現在の「主権国家体制」という枠組みが原因だ。この主権国家体制を簡単にいえば”最大権力は国家、国にある”ということ。

ふつう強盗とか暴行とか何かルールを違反すれば、ただちに逮捕され罰せられる。従わない場合は警察の力でもって強制的に執行される。

でもこれが国と国をまたぐとなると話は別だ。さっき言ったように最大権力者は国家。逆に言えば国家以上の権力を持つものは存在しないということになる。

国以上の権力を持つ組織が存在しない→国家間を超える権力が存在しない→他国のことには口出しできない(内政干渉できない)

ここらへんは中国の東シナ海進出で近隣諸国の意向を無視しつづけても実質牽制しかできないことやGoogleがヨーロッパの一部の国では大きく罰せられていることを見ればイメージしやすいかもしれない。

一応国連という超国家間的な組織もあるが実質の効力はほぼゼロに近いと言っていいと思う。

 

つまりさっきの引用文のように”アメリカでどんな判決が下っても、オーストラリアでは影響をもたない”ということになる。

シーシェパードの本部はアメリカだがシーシェパード・オーストラリアは独立したオーストラリアの組織だ。

オーストラリアのシーシェパードを抑えたければ、オーストラリアの裁判所で、オーストラリアの法律で、彼らを抑えるしかない。