ぼくらの研究

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Youtubeとかニコ動でよく見かける転載動画は違法なのか合法なのか

   

Youtubeやニコニコ動画を見ていると動画説明文のところに”ニコニコ動画より転載”とか”Youtubeより転載”と書いている動画をよく見かけます。

「これって違法なんじゃないの?」

と思う方もいると思うので今回はそこらへんをまとめたいと思います。なるべく分かりやすく。

結論

結論から言ってしまうとこれは「違法」です。

たとえ動画説明欄に元動画のURLが貼っていても関係ありません。違法です。

引用にあたるかどうか

著作権者の許可を得ずにそのコンテンツやコンテンツの一部を掲載できるのはそれが”引用”にあたる場合のみです。

引用の要件(引用と見なされるかどうかの条件)は以下の7つ。

ア 既に公表されている著作物であること
イ 「公正な慣行」に合致すること
ウ 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
オ カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
カ 引用を行う「必然性」があること
キ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
— 文化庁 (2010) 、§8. 著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合 ⑧ ア、「引用」(第32条第1項)

今回例に挙げたような転載動画というのはこの7つの要件のうち、いくつかはクリアしているんですが、

エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること

この1点において完全に外れています。オリジナルコンテンツそのまま流してるだけですからね。引用は必ずメイン(主)を補完する(従)する形でないといけないのです。引用コンテンツがメインになっているようなものは引用とは認められません。

以上のことから、他動画サイトの動画をそのまま流用した転載動画は引用にはあたりません。

違法な転載と合法な転載

そもそも転載というのは公共機関が発行しているものや新聞や雑誌の特定カテゴリー資料以外は無断で行ってはいけないことになっています。必ず権利者に許可をとるのが前提の行為なのです。(別にこういった知識を知らなかったとしてもこの案件を全て満たしているのであれば転載という言葉ではなく感覚的に自然と”引用”を選ぶとは思いますが)

この著作権者に許可を得ていない転載が通称”無断転載”。違法な転載です。

参考リンク転載 – Wikipedia

ですから、明らかに権利者ではない人が”○○より転載”という表現をしている時点で「違法行為をしています」と宣言しているようなものです。

無断転載の罰則

引用にならない無断(無許可)転載は著作権法第119条以降の罰則に基づいて懲役や罰金に処されます。

第119条
1.著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第30条第1項(第102条第1項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第113条第3項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第120条の2第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第113条第5項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2.次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第113条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第30条第1項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第113条第1項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 第113条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者

―著作権法 第119条より

第120条以降にも罰則の規定がありますが、長いので割愛させていただきます。

文化庁のページにがざっくりとした表でのまとめがあるので興味のある方は以下のリンクをご参考ください。

参考リンク改正法Q&A 問10|文化庁

 

ちなみに著作権侵害に関しては現在(2016/06/02)のところ親告罪になっていて、検察が勝手に取り締まってくれることはありません。権利者自らの告訴が必要になります。※今後TPP協定によって非親告罪化する可能性はあります

 

みんな、悪いことはしないように。