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「健康で文化的な最低限度の生活」の感想。日本財団学習マンガ100選その17

   

健康で文化的な最低限度の生活

 

日本国憲法25条、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する

 

参考リンク「聲の形」の感想。日本財団学習マンガ100選その1

前置きこの記事は基本的にストーリー上の具体的なネタバレ無しでお送り致します。

健康で文化的な最低限度の生活

今回は柏木ハルコさんの「健康で文化的な最低限度の生活」です。

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

健康で文化的な最低限度の生活のあらすじ

東京都東区役所に就職した義経えみるは、生活保護を取り扱う福祉事務所に配属される。社会福祉制度に全く知識をもたないえみるは配属先に不安を覚えるが、配属早々、先輩ケースワーカーの半田から110世帯の担当を任されてしまう。半田に助けられながら、必死に仕事を覚えていくえみるだったが、生活保護を受けていた男性の自殺、母親から虐待を受けていることをうかがわせる子どもとの会話、精神的に追い詰められた女性からの罵詈雑言など衝撃的な体験を経験していく。やがて、えみるはケースワーカーとしての自覚を深め、生活保護制度に関して本格的に勉強を始める。一方、えみると同期の新人ケースワーカーたちも深刻なケースに遭遇し、それぞれ苦悩していた。

引用元:健康で文化的な最低限度の生活 – Wikipedia

健康で文化的な最低限度の生活の感想

このマンガのテーマは「生活保護」

今も増加中の生活保護受給者数ですが、その受給者の資格を判断したり仕事に復帰できるようにサポートする役所の生活課の話です。

生活保護受給者数の推移写真引用元:http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_general-seikatsuhogo

時事ドットコムから引用したこのグラフによると、2015年7月時点の年金受給者は216.5万人。総務省の統計データ(2015年6月確定値)によると日本の総人口は1億2692万9千人ですので、利用率は1.7%。100人中1人~2人は生活保護受給者がいることになります。

ちなみにこの数字は先進国の中でみると低い水準で、他の国と比べると比生活保護受給者の割合自体は決して高くはありません。ただ日本の場合、年金受給者は医療費がタダなので高齢化社会問題ともあわさって見た目以上に財政を圧迫しています。

でもこの仕組みは個人がどうにかして変えれるものではありません。

もし変えたとしてもそれは「全員ハッピー!」という感じのWinWinな案はまず不可能で、バランスが変わるだけです。つまり誰がどのくらい負担するのかというバランスの変更にすぎません。

 

そして、このマンガはこんな感じであーでもないこーでもないと議論するようなそっ閉じ系の話ではなく(閉じないでくださいお願いします) その生活保護という仕組みの中でどういった物語があるのかという作品。

この記事では前置きの通り具体的なネタバレをしないと言っているので読んだ感想だけを率直に言うと、なんというか非常につらい仕事だと感じました。

彼らの仕事がザルだと生活保護受給者数はうなぎ登り。普通に働ける人が働かずにぼくらが収めた税金がどんどん給付金として使われていく。

でも周りには評価されず、受給者側からも行政側からも税金納付者からもいろいろ文句を言われる立場で労働意欲は下がり気味に。

でもでもここの人達がいい加減になると国の財政が圧迫され、結果ぼくらの納める税金も上がる。

でもでもでもそんな大事な仕事なのに評価はされないし、生活保護受給者もいろいろと事情があって精神的に疲弊する。

みたいな感じで「大変な仕事だなぁ」と思いました。いや小並感とかじゃなくて切実にね。

 

もちろん作者の方もインタビューなどで言及しているように、生活保護受給者の生活やそれに至った事情とかは様々でこのマンガで描かれているようなケースのどれにも該当しない人達もいっぱいいるとは思います。

ただいずれにしろこの仕事の重みは変わらないと思います。

まだこのマンガを読んだことのない人はぜひぜひ読んでみてください。