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「聲の形」の感想。日本財団学習マンガ100選その1

   

日本学習マンガ100選

 

「日本財団学習マンガ100選」というものがあります。

参考リンク http://gakushumanga.jp/

文字通り、読んで学びになるマンガを100作品選んだというもの。楽しみながらもいろいろな知見を学ぶことができる。なんてすばらしいのでしょう。

そんな学習マンガ100選なんですが1作品ずつ感想を書いてみようかなぁ……とかいかにも途中で挫折しそうなことをふと思い立って筆をとっています。

ではさっそくいってみましょう。

注意点この記事にはネタバレが含まれます。ご注意くださいませ。

 

聲の形

第1作目は大今 良時さんの「聲の形」です。

聲の形(1)

聲の形のあらすじ

将也のクラスに転校してきた硝子は聴覚障害者であり、自己紹介でノートの筆談を通じて皆んなと仲良くなる事を希望する。しかし、硝子の障害が原因で授業が止まる事が多く、同級生達はストレスを感じる一方になっていた。そして合唱コンクールで入賞を逃したことを切っ掛けに将也を始めとするクラスメイトたちは硝子をいじめの標的とするようになり、補聴器を取り上げて紛失させたり、筆談ノートを池に捨てるなどエスカレートしていった。
度重なる硝子の補聴器紛失事件を機に、彼女の母親の通報によって校長同伴による学級会が行われるが、担任の竹内はいじめの中心人物であった将也のせいだと、威圧的に追求。それに賛同する形でクラスメイト達も次々と将也のせいだと主張し始め、自分達も硝子に散々な仕打ちを行っていたにも拘らず、彼らは皆自己保身の為だけに暗黙の団結を結んで、全ての罪を将也一人になすり付けようとしたのだ。これが、あまりにも信じられない光景に愕然とする将也が、硝子に代わる新たないじめの標的となる日々の始まりだった。
孤立した将也は、硝子よりも苛烈ないじめを受け続ける事になり、上履きを隠す犯人を突きとめようと早朝に下駄箱で待ち伏せしていると、花を持った硝子が現れ、以前いじめを受けていた時と同様に、落書きされた机を拭いているのを目撃する。その後、新たないじめグループのリーダーとなった島田によって池に突き落とされ、それを目撃した竹内に事実を説明しても「嘘をつくな」と、我関せずな始末だった。島田達の冷酷な嘲笑を受け、ボロボロになりながら一人歩く将也の前に硝子が現れ、傷ついた将也の顔を拭きながら彼女は優しく笑みを浮かべる。しかし、自分が散々いじめたにも拘らず優しくしてくれる彼女にやるせなさや惨めさを感じた将也は反発してしまい、暴言を浴びせたことで取っ組み合いの喧嘩となり、それを遠因に硝子は転校した。
結局、硝子の転校後から卒業にいたるまで、将也へのいじめはひたすら続いた。卒業式の日、落書きされた自分の机を一人拭いていた将也は、喧嘩別れしてしまった硝子がいつも拭いていた落書きだらけの机は、他ならぬ自分自身の机であった事に気づく。島田達は、硝子をいじめていた時から、将也に対してもずっと机に嫌がらせを行っており、それに気付いた硝子は、将也が気付かないよう、いち早く学校に来て、彼の机の落書きを拭いていたのだ。自分を本当に想ってくれたのが、自分がいじめていた硝子ただ一人だけで、密かに守ろうとしてくれた彼女と分かり合えず失ってしまった事に、将也は自己嫌悪と後悔の涙を流し、自分なりの贖罪を行うことを決意する。

引用元:聲の形 – Wikipedia

聲の形の感想

すばらし。7巻完結の作品ですが、内容がめっちゃ濃いです。某デスノートマンガのようにセリフや説明が多いわけではないんですが、サクサク読み進めてはいけないでしょう。いい意味でね。ようするに作品にひき込まれます。

本作では、障害やいじめというテーマがありますが恋愛についてもかなり濃くかかれています。あと家族愛や友情も。このうちどれか1つのテーマについてのマンガだったらこんな味にはならないと思うんですけど、全部一緒に書いているからか…………すごいです。(言語の限界)

というか現実はそもそも全部ごちゃまぜですよね。実際問題、障害だったりいじめだったり友情だったり恋だったり家族だったりが他から一切きり離されて独立しているなんてことはまずありません。そういう理由からなのか共感も含めてすごく感情がかきたてられるマンガでした。

設定されているさまざまなシーンもとてもリアルです。描写が生々しいとかそういう意味ではなくて、本質をついてる感じ。

「あぁこーゆーのあるよね」
「あぁこーゆーヤツいるよね」
「あぁこーゆーふうに思うよね」
「あぁこーゆー感じになるよね」

と読んでてぼんやりと共感する部分はみんなあるんじゃないかなぁとか思います。だいたい胸がしめつけられる気持ちになりますが。(個人的には読んでてせつない気持ち80%、あたたかい気持ち20%くらいになります。)

登場するキャラクター達もみんないい味出してます。もちろんヒロインの西宮硝子もいいですが植野直花も中盤以降はせつない恋愛模様を思いっきり出してくれますし、メガネの川井さんもいそう。普通にいそう。同級生の島田たちもなんとも言えない空気をいろんな場面でさりげなく出してくれます。おまえ……そこで……みたいな。お母さん達もうちに秘めたる愛情が溢れんばかりです。永束くんは……まぁいいや。

そういうのを考えると物語を通しての共感はさておき、登場人物単体で見るといそうでいない人ばかりだなぁ。まぁこれはマンガ全般についていえることだけど。

 

上手く言葉にすることができない感情が多くてここまで説明にすごく困りましたが、とてもいいマンガでした。障害やいじめについても考えさせられますが、それ以上にいろいろ思うことのあるマンガだと思うので読んでない人はぜひぜひ。